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組織変革のマネジメント

今月から4回にわたってビジネス香川さんに「組織変革のマネジメント」というタイトルで寄稿します.今回の寄稿は,ビジネス香川さんに香川大学ビジネススクールの教員が持ち回りで執筆している「目からうろこ!BK seminar」というコーナーです.

 

第1回目は「企業文化の影響力(前編)」がサブタイトルで,目に見えにくく影響力の大きい企業文化について取り上げています.

 

ネットでも読めるようになっていますのでご関心のある方はリンクをクリックして是非ご覧下さい.

内省とリーダーシップ「リーダーとならねばならぬ人へ」

拙著「内省とリーダーシップ」が5月5日に白桃書房さんから発売されることになりました.

 

私の恩師である慶応義塾大学の高木晴夫先生から推薦文として「本書はリーダーとならねばならぬ人に贈る。そもそも人は経験も自信も十分でなくリーダーになる。では、どうすれば有効なリーダーとなるか。答えは『内省』である。自己を深く見つめる厳しい機会に人は内省し、根本的な解決策を創造し対話する人となる。リーダーたる所以である。」という文章を頂きました.本当に感謝で一杯です.

 

本書は,私自身がこれまでに行ってきた理論と実証研究をまとめたものですが,そこには書ききれなかったことを少々補足しておきたいと思います.本書で指摘している通り,リーダーシップに関する研究は,これまで人を動かすということに主眼が置かれてきました.しかし,私自身は,人が動くことはあくまでも結果に過ぎないと考えております.主体性を持った人間であれば,外から動かされることに抵抗するのが自然です.私自身は,相手と自分を「動かす側」と「動く側」として分離し,無理な力を相手に加えようとして自分自身がバランスを崩した経験がありますが,こういう経験は私以外の多くの方にとっても心当たりのあることかもしれません.相手を動かそうとして,そのことがいつの間にか目的化してしまうとこうしたアンバランスな状態が生じます.

 

内省を重視したリーダーシップは,これとは対照的に自分というものを大きく捉えます.そして,自分も相手もさらには世界も1つに捉え,自他非分離となりながら,内省と対話によって自然に生まれてくる「流れ」ともいうべき生成的な変化を促進するリーダーシップです.このようなリーダーシップは,自分と相手を「動かす側」と「動く側」として分離する視点をとらないため,相手を自分の手足や道具として捉える観点もそもそも持つ必要がありません.相手に対しては,敬意を持って接し,共に理想を探求し,共に目的を具現化する仲間として働くだけです.

 

再び私の経験なのですが,他人を動かそうと意識を他人に向けすぎると,視野が狭くなり,かえって全体が見えなくなってしまったということがありました.自分が見えなくなると,自分以外の人ばかりが問題に思えたり,自分以外の人が変わらなければならないと思いはじめます.そうすると狭い視野の中で他責的になり,頭だけでなく体にも力が入って柔軟性を欠いた状態になってしまいます.

 

他人の問題を追究するのではなく,他人の中に素晴らしい価値を認め,強みを引き出し,深いレベルから問題そのものを無くし,自然な流れとして理想に向かおうとするエネルギーが生まれてくるのが内省を重視したリーダーシップの真骨頂だと言えます.もちろん,これは問題を楽観したり無視することとは全く違います.自分と相手を1つに捉えようとする時,短絡的な犯人探しとは異なる見え方で問題が見えてくるのであり,むしろ問題に対しては深い探求が生まれます.

 

内省とリーダーシップに関してはいくらでも補足が長くなってしまいそうなので,今日はこの辺にしておきます.ご関心のある方は是非「内省とリーダーシップ」をお手に取ってみてください.感想もコチラからお待ちしております.

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