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ケース・ウェスタン・リザーブ大学へ

今秋から1年間、香川を離れ、米国オハイオ州クリーブランドに位置するケース・ウェスタン・リザーブ大学(以下、ケース)のビジネススクール(Weatherhead School of Management)にてVisiting Research Scholar(日本語では客員研究員になるのでしょうか)として過ごすことになりました。

 

ケースは日本ではあまり知られていないのですが、アメリカ人科学者として初のノーベル物理学賞を受賞したアルバート・マイケルソンがかつて同大の教授であったり、彼も含めた過去の教員や卒業生に16人ものノーベル賞受賞者がいたりと大変レベルの高い大学のようです。

 

組織行動や組織開発の分野でも世界でトップレベルの研究拠点の1つに数えられています。私が特にケースに行きたかったのは、AI(アプリシエイティブ・インクワイアリー)の開発者として大変著名なDavid Cooperrider教授が教鞭を執られているためでした。

 

これからどのような1年になるのか、今はワクワクする想いと少しの不安が入り交じった気持ちです。またこのブログでもケース滞在記をレポートしたいと思います。

連載:内省と対話による組織開発の新潮流

生産性新聞(発行元:日本生産性本部)さんの8月5日号から5回シリーズで新しく連載を開始しました。

 

連載のタイトルは「内省と対話による組織開発の新潮流」です。

 

以下、第2回目の原稿の書き出し部分をご紹介したいと思います。

「筆者は、組織開発の核心は内省と対話ではないかと考えている。内省と対話は、人々が自分の判断を一旦保留し、互いへの敬意を持ちながら様々なアイデアや情報に対して先入観を持たずにその価値を探求する行為であり、深い相互理解と集団的な学習を促進し、内発的かつ深い変化を生み出す鍵として機能する。」

 

ご興味を持って頂ける方は是非お手に取ってご覧頂ければ幸いです。感想も大歓迎です。コチラからどうぞ。

 

生産性新聞さんは月3回刊行されているそうで、掲載されるのは以下の各号です。

【第1回】 8月 5日号

【第2回】 8月25日号

【第3回】 9月 5日号

【第4回】 9月15日号

【第5回】 9月25日号

 

なお、連載終了後は生産性新聞さんのホームページでも記事を読むことが出来るそうです。

釧路公立大学にて

釧路公立大学地域経済研究センターさんのご招待で、7月20日に「内省と対話が織りなす組織経営ー企業と地域の発展の原動力ー」と題して講演をいたしました。

 

講演といっても私が一方的にお話するのではなく、「内省と対話」の重要性と可能性について参加者の皆さんと実際に対話を通じて探求しました。

 

参加者の多くは、自治体職員や経営者、地元企業の方々、大学関係者でしたが、どの組織でも対話が不足している現状や対話をする以前の問題があるといったことなどが語られました。対話をする以前の問題とは、会議ではトップが怖くて本音を言える空気ではないといったことや、常に結論ありきの会議で異論を挟めないといったこと、あるいは自分の組織以外の方との対話は不可能に近いといった諦めの感覚などが挙げられました。

その後、参加者の皆さんとそのような状況に変化を生み出すいくつかの方向性やリーダーシップについてお話しし、1時間半の講演(ワークショップ?)はあっという間に終わりました。

 

釧路の皆様、本当に素晴らしい対話の時間をありがとうございました。

 

 

(北海道建設新聞:「互いの価値探求を」)

(釧路新聞記事:「組織運営に内省と対話を」)

ALiAーAuthentic Leaders in Actionー

6月18日から23日にかけて、カナダのハリファックスにて開催されたALiAーAuthentic Leaders in Actionーに参加してきました。

ALiAは、transformational learningのための場であり、世界中の様々な分野でリーダーシップを発揮されている方々が集い、共に学び合う場です。

(写真:ALiAでのワールドカフェ)

 

私も、日常をちょっと離れて、世界中から集ったリーダー達と共に世界の声に耳を傾け、対話し、内省して過ごしました。 答えやスキルを得るというよりも、ただ起こっていること に注意を向け続け、問いを受け取り続ける、そんな誘いを 受けながら過ごす1週間でした。

ALiAのプログラムには様々な講演やワークショップがあり、私は『リーダーシップとニューサイエンス』の著者であるマーガレット・ウィートリーがファシリテートするコースを受けました。彼女が提供したコースは、人が心に抱える「希望と怖れ」をテーマとしたワークショップで、私自身にとっても深く自分自身を見つめ、熟考する機会になりました。

(写真:マーガレット・ウィートリー)

 

日本人の参加者は私を含め8人ほどだったのですが、震災から1年を経て今感じていることをそれぞれがストーリーテリングするという貴重な機会も設けて頂きました。私自身は、自分の経験をストーリーとして語ることを通じ、不確実な世界の中を生きているという現実に改めて向き合うことが出来たように思います。

 

ALiAという場の、非常にユニークな特徴の1つとして、日本的な文化を取り入れており、日本へのレスペクトがとても強いということが挙げられます。一例を挙げると、場を始める時に「礼(Vow)」をするということがあります。マーガレット・ウィートリーは、礼の背景にあるものについて次のような説明をしてくれました。

 

ー自分の行動に責任をとり、互いの学びをサポートしようとする姿勢

ー未知のことに仲間と共に飛び込む覚悟

ー怖れと不安定さを探求しようとする意志

 

まさに、学ぶことは変わることであり、それを真摯に追求しようとする姿勢が礼として表現されていることを学ばせてもらいました。日本人としてカナダで礼について学ぶとは思ってもみませんでしたが、とてもよい機会でした。

 

この他にも書道や合気道など、いずれもアメリカ人の達人による指導を受ける機会がありました。日本の文化の持つ形の奥にあるものを色々な形で学ぶ機会にもなりました。

(写真:書道のワークショップ)

 

ALiAでは、多くの時間を通じて、自らのあり方が問い直されました。そのことは同時に、私にとっては、今を生きる、つまりマインドフルであるということの探求でもありました。五感を使って世界を感じ、只世界に自分を開こうとする、そんな時間を持てたことは私にとってとても豊かで発見の多い時間でした。

対話の力ーフューチャーセッションin四国

2012年5月26日と27日の2日間,「対話の力—四国発!新たな未来を創造する」をテーマとしてフューチャーセッションin四国(主催:NPO法人ソーシャルベンチャーズ四国)を開催いたしました.当日の様子については徳島大学の吉田先生のブログFCNJさんのブログでもご紹介いただいています.

(写真:スタッフの方が手作りしてくれた看板)

 

今回のイベントは,フューチャーセンターによる企業変革の取り組みに長年従事されてこられた岩井秀樹氏、市民が対話し新しい未来を生み出す試み「京都流議定書」の仕掛人である岡村充泰氏をゲストにお招きし,組織開発と地域開発の分野で有名なボブ・スティルガー博士と八木がファシリテーターを務める形で進行されました.

 

(写真:こんな感じでサークルになって対話をスタート)

 

年齢,性別,住んでいる地域,職業など様々な違いを持つ人々が対話を深める,一見とてもシンプルなことですが,実際には意外と難しいことだったりします.地方にはまだまだ豊かな人と人との関係があるのも事実ですが,その一方で,人々は自分が普段属しているグループとは異なる人々との対話を持つ機会について十分だとは感じていない現状があります.以前,ある地元の経営者の方が私に「普段,地元の経済人と話す機会はあるけれども,そういったコミュニティには多様性が少なく,新しいアイデアや情報に関しては枯渇しがちだ」とおっしゃっていました.このことは自治体の方にも,NPOの方にも,大学人にもそれぞれ当てはまる傾向のようです.多様な違いを持つ誰もが安心して参加出来,対話を深められる場は,実は簡単に生み出せるわけではありませんが,その必要性はとても大きいものだと感じます.

(写真:ワールドカフェの様子,各テーブルにはスタッフが一輪挿しの花を用意してくれました)

 

よい場をつくり出すには,よい場を生み出そうとする意図と情熱,デザインとプロセス,場を支える人々のホスピタリティ,参加者の主体性と創造性を引き出す知恵,ファシリテーターによる傾聴と沈黙の力など,学ぶことが本当に多くあります.私自身,その学びの道程の途上にありますが,これからも多くの方々と,よい場を生み出すために探求と学びを深めていけたらと思います.これは毎回,本当に楽しい学びです.

(写真:27日のプログラム,その場の流れを大切にしたかったので細かい時間は書き込みませんでした)

 

参加者の方々からは「未来を語ることで今がワクワクすることを感じた」,「新しい一歩に具体的につながるヒントが得られた」,「四国の全ての大学をフューチャーセンターにしたい」,「傾聴と沈黙の大切さを感じた」などなど沢山の思いや気づき,今後の抱負をシェアして頂きました.

(写真:ポストイットで貼られた参加者の皆さんの気づきの一部)

 

参加してくださった多くの皆さん,そして場づくりを支える側にまわって下さった多くの皆さん,本当にありがとうございました!

(写真:当日の模様は5月26日の夜のニュース(KSB スーパーJチャンネル)でも放送されました)

ビジネス専門誌への掲載

最近のビジネス専門誌への寄稿,インタビューをまとめてみました.

 

■日経トップリーダー 「『修羅場』を5STEPで乗り越える」2012年6月号 pp.22-23.

(内容)後継者が直面する修羅場についてと内省と対話を通じてそうした修羅場を乗り越えていくための道筋についてです.

 

■人材教育 「チーム・組織の能力を引き出し企業の持続的成果を実現するヒント」2012年6月号 pp.86-91.

(内容)2012年3月13日・14日に行われた日本能率協会主催の組織開発フォーラム2012での講演と対談をまとめて頂きました.組織の未来と組織開発の関係,組織開発が何を扱うか,深い変革を可能にする内省と対話などについて語っています.対談は,日産自動車 組織開発部 本部長の清原正治さんと日本オラクル 人材組織開発部 シニアディレクター 赤津恵美子さんと.

 

■ブレーン 「共創パワーを最大化するには」 2012年7月号 pp.46-48.

(内容)テーマは,ファシリテーション型のリーダーシップについて.内省と対話を通じてチーム一人ひとりの力を活かし,多様な視点から“解”の質を高めていく工夫や自分自身が広告代理店で働いていたときの経験などを語りました.他にTRUNKデザインディレクターの桐山登士樹さん,フューチャーセンターで有名な野村恭彦さんが同じコーナーに登場されています.

■ビジネス香川 BKセミナー 「組織変革のマネジメント 企業文化の影響力②」2012年5月17日更新

■ビジネス香川 BKセミナー 「組織変革のマネジメント 企業文化の影響力①」2012年5月3日更新

組織変革のマネジメント

今月から4回にわたってビジネス香川さんに「組織変革のマネジメント」というタイトルで寄稿します.今回の寄稿は,ビジネス香川さんに香川大学ビジネススクールの教員が持ち回りで執筆している「目からうろこ!BK seminar」というコーナーです.

 

第1回目は「企業文化の影響力(前編)」がサブタイトルで,目に見えにくく影響力の大きい企業文化について取り上げています.

 

ネットでも読めるようになっていますのでご関心のある方はリンクをクリックして是非ご覧下さい.

内省とリーダーシップ「リーダーとならねばならぬ人へ」

拙著「内省とリーダーシップ」が5月5日に白桃書房さんから発売されることになりました.

 

私の恩師である慶応義塾大学の高木晴夫先生から推薦文として「本書はリーダーとならねばならぬ人に贈る。そもそも人は経験も自信も十分でなくリーダーになる。では、どうすれば有効なリーダーとなるか。答えは『内省』である。自己を深く見つめる厳しい機会に人は内省し、根本的な解決策を創造し対話する人となる。リーダーたる所以である。」という文章を頂きました.本当に感謝で一杯です.

 

本書は,私自身がこれまでに行ってきた理論と実証研究をまとめたものですが,そこには書ききれなかったことを少々補足しておきたいと思います.本書で指摘している通り,リーダーシップに関する研究は,これまで人を動かすということに主眼が置かれてきました.しかし,私自身は,人が動くことはあくまでも結果に過ぎないと考えております.主体性を持った人間であれば,外から動かされることに抵抗するのが自然です.私自身は,相手と自分を「動かす側」と「動く側」として分離し,無理な力を相手に加えようとして自分自身がバランスを崩した経験がありますが,こういう経験は私以外の多くの方にとっても心当たりのあることかもしれません.相手を動かそうとして,そのことがいつの間にか目的化してしまうとこうしたアンバランスな状態が生じます.

 

内省を重視したリーダーシップは,これとは対照的に自分というものを大きく捉えます.そして,自分も相手もさらには世界も1つに捉え,自他非分離となりながら,内省と対話によって自然に生まれてくる「流れ」ともいうべき生成的な変化を促進するリーダーシップです.このようなリーダーシップは,自分と相手を「動かす側」と「動く側」として分離する視点をとらないため,相手を自分の手足や道具として捉える観点もそもそも持つ必要がありません.相手に対しては,敬意を持って接し,共に理想を探求し,共に目的を具現化する仲間として働くだけです.

 

再び私の経験なのですが,他人を動かそうと意識を他人に向けすぎると,視野が狭くなり,かえって全体が見えなくなってしまったということがありました.自分が見えなくなると,自分以外の人ばかりが問題に思えたり,自分以外の人が変わらなければならないと思いはじめます.そうすると狭い視野の中で他責的になり,頭だけでなく体にも力が入って柔軟性を欠いた状態になってしまいます.

 

他人の問題を追究するのではなく,他人の中に素晴らしい価値を認め,強みを引き出し,深いレベルから問題そのものを無くし,自然な流れとして理想に向かおうとするエネルギーが生まれてくるのが内省を重視したリーダーシップの真骨頂だと言えます.もちろん,これは問題を楽観したり無視することとは全く違います.自分と相手を1つに捉えようとする時,短絡的な犯人探しとは異なる見え方で問題が見えてくるのであり,むしろ問題に対しては深い探求が生まれます.

 

内省とリーダーシップに関してはいくらでも補足が長くなってしまいそうなので,今日はこの辺にしておきます.ご関心のある方は是非「内省とリーダーシップ」をお手に取ってみてください.感想もコチラからお待ちしております.

every.フライデー卒業

3月30日の放送で、1年間務めさせて頂いたevery.フライデーのコメンテーターを卒業させていただきました(この素敵な番組は今後も続きます!)。

 

おかげさまでテレビでしか出来ないような貴重な経験や出会いを沢山させて頂きました。はじめはテレビの生放送という場の持つ緊張感に慣れないこともありましたが、スタッフの皆さんのおかげで楽しい思い出ばかりが残っています。出演の副産物として、どんな状況でもコメントを即興で考え、短くまとめて話すという普段は出来にくい思考の筋肉も少しは鍛えられた気がします。

 

every.フライデーは、金曜日の15時50分から16時55分の生放送番組で、ニュースやお天気、全国や地域の様々な情報をお伝えする情報番組です。1年前に新番組として放送が開始し、当初は視聴率もそこそこだったのですが、後半は視聴者の皆さんにご支持を頂いて同時間帯でもトップクラスの視聴率を頂戴する番組に成長しました。

 

なお、私から提案をさせて頂き、番組放送前の打合せでは、スタッフ全員で『チェックイン』といって、1人1分程度で今の気持ちや近況を紹介し合う場をほぼ毎回持たせてもらいました。スタッフの方々からは、チェックインを通じて、普段はあまりコミュニケーションが少ないスタッフとも意思疎通がしやすくなったと言って頂きました。現場には様々な役割分担があり、様々な年代の人がおり、社内外の様々な所属の人がいます。そういった垣根を越え、安心して話し合える場を共有したことは、現場に温かさや楽しさを増してくれたのではないかと思っています。

 

今、改めて振り返ると、この番組に出演させて頂いて私が得た最大の財産は、本当に素晴らしいスタッフの皆さんとの1つのチームとしての経験だったなと思います。皆さん本当にありがとうございました!またどこかでお会い出来ることを楽しみにしています。

放送が終わってスタッフの皆さんとの記念撮影☆

内省型リーダーシップ

「人材教育」で野村総研の永井恒男さんと一緒に連載していた「内省型リーダーシップ」が、このたび野村総研さんのHPから読めるようになりました。

 

PDFはコチラです。

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