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中国MBA事情

本日はハルビン工程大学の経済管理学院から馬永紅先生とYu春紅先生を当研究科にお招きし、中国におけるMBA教育の改革と発展と題して講演を頂き、その後、我々教員との意見交換を行いました。

以下、気になる中国のMBA事情を馬先生の講演を基に簡単に紹介したいと思います。

中国でのMBA1988年ごろから設立が準備され、1991年から1994年にトップ大学9校に最初の認可がおりて開講されました。

その後、1998には54校に拡大され(ハルビン工程大学では97年に開講)、現在では127校、延べ卒業生が8万人にもなるそうです。

MBAに関して古い歴史はありませんが、中国MBAの勢いを感じます。

カリキュラムは全国的にかなりの程度統一されコア科目12科目は全国共通の設置になっているそうです。

入試も全国共通のテストを受けるそうです。

教育方法はケースメソッドが中心で、統計など一部科目を除きすべての科目でケースが用いられています。

しかも、どの科目でも最低でも6ケースは授業にケース教材を使用しなければならないといった細かい規定もあるのだそうです。

また、全国MBA教育指導委員会という組織が設置されており、国レベルでMBAの質の管理と向上を図っており、学校を超えたFD(fuculty development)活動が頻繁に実施されているとのことでした。

ケースは欧米のものも使われるようですが、最近では中国内のケース開発に力を入れており、大学を超えたケース共有センターという組織が設置され、そこに開発されたケースが登録されてメンバー校には無償で使用が許可されています。

ただしメンバー校になるには年間2ケース以上を開発し、ケース共有センターに登録し続ける必要があるとのこと。

なかなかしっかりした仕組みが整っています。

他に面白いと思った点は、ハルビン工程大学の場合、教員の質の確保に関しては学生による教員評価が低い教員を他学部などに異動させるといった仕組みが整っているそうです。

MBAは学費が特に高く社会人学生の授業への期待が高いこと、また学校間の競争が激しいことなどがあり、教員の質は大学内でもトップレベルの人員を戦略的に揃える必要があるのだそうです。

なおほとんどのMBAの教員は学部との兼任であり、MBAを外された場合は経済学部専任になることが多いそうです。

こうしたマネジメントがなされているケースは日本では聞いたことがありません。

日本の大学以上に戦略的かつ流動的な人材マネジメントがなされていると感じます。

なおハルビン工程大学は歴史のあるとても大きな大学ですが、馬先生やYu先生が所属する経済管理学院(日本の経済学部にあたる)もとても規模が大きく設備も整った学部です。

これまでで既に1100人のMBAを輩出してきたそうです。

他にもカリキュラムなどでユニークな点がいくつもあり予想していた以上に参考になる点が多い講演会でした。

馬先生、Yu先生、ありがとうございました!

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