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死生学

先日、6月20日にNHKのニュース番組「ニュースウォッチ9」に関西学院大学の藤井美和先生が御出演になり、「死生学」に関する授業の様子が放映されました。死生学に関して私は全く知らなかったのですが、個人の死と死生観に関する学問ということでした。藤井先生は死を含めて生を考えること、そして生と死にまつわる様々な問題について私たち人間がどのように考え関わっていくかについてご関心を持たれているとホームページに書いていらっしゃいました。番組を見てすぐにこの死生学が持つ経営教育に対する重要性を直観しました。ひとつはキャリア教育に対する重要性です。ビジネスを中心とするキャリア教育では死というテーマはほとんど扱われていませんが、私たちは実際に同僚の訃報に接するといった経験をしながら、自分自身にもいつかそのような 時が訪れることを知っています。その時の視点から今を考え、仕事を考え、キャリアを考えることの重要性は非常に高いと言えます。また、リーダー教育に対する重要性もあります。リーダー自身が自分もやがて必ず死を迎えるという視点から、そもそも何のために頑張るのか、何のために仕事をするのか、という価値観の部分を深く理解できるかどうかは、より一般的な人間理解の深まりに対しても直結するものと考えられます。そして人間理解の深まりは当然のことながらリーダーシップの深まりにもつながるはずです。現代社会は死をタブー視すると言われていますが、そのことには少なからぬ弊害もあるのではないでしょうか。法的な視点から見ても死者には財産に対する所有権がありません。私たちは死によってすべてを手放すことになります。その視点に立つ時にくっきりと見えてくる大切なことはたくさんあると思います。不祥事の多い昨今の経営状況を見ていると、人間にとって本当に大切なものを見つめ直す機会の必要性を感じずにはおれません。死生学の重要性は今後ますます高まっていくと思います。