お問い合わせ

blog

ファミリービジネス研究の現状

2010年3月16日,慶應義塾大学にて「ファミリービジネス研究の現状」というテーマで講演をいたしました.

私自身が,ファミリービジネスに着目している理由はいくつかありますが,中でも大きな理由の一つは,長期にわたって継承され繁栄を続けているファミリービジネス経営者に見られる特徴として「世代超越性」があるためです.世代超越性は私の造語ですが,経営は自分が前の世代から一時的にお預かりしているもので,これをまた次の世代に良い形で受け継いでいくことが自分の使命だと感じる意識です.当然のことながら,経営を考える時間軸の幅が自分の寿命を超えて広くなります.長期の時間軸で経営を考えているので,ステークホルダーとの関係においても誠実さや信頼を重んじる態度が貫かれます.

もちろんこの世代超越性は全てのファミリービジネスに共通するということではありません.しかし,優れた経営を続けているファミリービジネス企業では,経営者に対するインタビューや,家訓などを調べたときにこの世代超越性が見られることが多くあります.

こうした長期の時間軸を念頭においた経営をしているファミリービジネスが,現代社会に対して示唆に富んだメッセージ性を持っていると感じるのは私だけではありません.先日の講演の後もファミリービジネスの経営者の方々や研究者の方々と意見交換をさせて頂きましたが,地域社会への貢献を続けるファミリービジネスが多いのもこうした時間軸に対する意識と無縁ではないという意見で多くの方と一致しました.

大変有意義で学びの多い研究会でした.お招きいただいた飯盛先生をはじめスタッフの皆様に心から感謝いたします.