お問い合わせ

blog

井上英之さんの講演,そしてうどんツアー

このブログでも何度か紹介してきた通り,香川大学ビジネススクールでは学生の皆さんが主体となって9月26日に「社会起業家と地域マネジメント」というテーマでシンポジウムを開催いたしました.

結構広い会場だったので埋まらなかったらどうしようかと不安もあったのですが,ふたを開けてみると大盛況で,参加者が1階席だけでは入りきらず2階席にも入って頂きました.

sympo1

基調講演にお呼びした井上英之さんは期待通りとても面白い場を作ってくれました.まず服装からして穴空きジーンズにカットソー.開演時間前,すごくシーンとした会場(ほんとに皆さん身動きひとつしない感じでした)に突然変な兄ちゃん入ってきましたという感じに思わず笑ってしまいました.いいなぁ井上さん.

sympo2

さて,井上さんの講演でのお話ですが,以下は私のメモの中からの抜粋,要約です(正確さにはあまり自信がないのですが).

「今日はここから明るい話をつくっていきたいと思っています.皆さんそれぞれのお仕事が地域や社会の変化につながっていくものではないでしょうか.日本にはすでに良くなっていくための要素はそろっているのではないかと思います.そういうものを集めて一つの形にできれば.私はそう思って取り組んでいます.

私たちが身近な場所で感じる問題意識,心にさざ波が立つようなこと,それらを大切にして発信しましょう.誰かが見ている問題というのは,他の人も見ている問題.皆さんは多くの人々を代表してその問題を見ている.代表しているんです.代表ってどういうことでしょうか?その問題は解決されるべきニーズなんだということです.同じ事に困っている人がいる.そしてそのニーズは市場になるかもしれない.いまどき東京では福祉,環境,医療系の見本市が沢山開催されている.みんなが感じている問題はニーズになるのであって,そのまま市場になり生態系,エコシステムになっていく可能性がある.生態系には様々な人がいる.わたしにはこんなことが出来るという様々な人がいる.そんな人々が集っていけば解決できるかもしれない.問題の前で素通りしてしまったら何も変わらない.同じものへの見方が変わっていくことが大切!こうだと決めつけてしまっていたことが変わることこそイノベーション!

一番大切なのは心のさざ波を大切にして,発信すること.事例,病児保育のフローレンスをはじめた駒崎さん.認知が広がる事によって潜在化していたニーズが顕在化する.そして他の地域でも展開していく.発信→(ニーズの)顕在化→展開という流れを生み出していく.

ではどうしたらそんな流れを生み出せるのでしょうか.どうしたら効果的にできるのでしょうか?システムシンキングを使う.Theory of Change と呼んでいる.どうしたら変化を起こせるのかに関する考え.事例,ウェンディ・コップがはじめたTeach for America .①低所得者地域の学校→②良くない教師しか集らない→③学力低下,悪い就職.このような悪循環の構造を見抜く.そして,だったら②の良くない先生という問題を解決してみたらいいのではないかと目をつける.もし(IF),全米から2年間の約束で優秀な若い先生を呼んでくる事ができたら,そうすれば(THEN),低所得者地域の学校の子供達の学力が向上し,いい就職ができて,地域が貧困から脱却できるはず.問題をシステムとして構造化するとレバレッジポイントが見えてくる.レバレッジポイントとは,1の力で10をなすことが出来る点.こうした構造を見つけたら,IF→ THENで解決に向けてのビジョンを人々に語ることが出来る.Teach for Americaは今全米に広がっている.このプロジェクトに参加した若い優秀な教師達がリーダーシップを身につけていくことでさらに評判が高まり,今ではTeach for Americaが全米の人気就職ランキングのトップ10にはいっている.IBMとかに並んでいるんです.根本的な問題は何かを考え,IF→ THENで語れるようにしましょう.

SVP東京の紹介.お金を出す事に加えて自分達も現場にいく.現場に行くと我々は謙虚にならざるをえない.そんな現場を学ばせてもらった上での投資というかおせっかいというか.そんなことをしています.今,私たちは肚の据わったすごい起業家を待つだけでなく,自分達に出来る事をしていこうと考えています.

そして新しい解決の流れを広げていくことが大切.これをスケールアウトと呼びます.発信し,ニーズを顕在化し,広げていく中で一つの生態系を作れないかという取り組みです.

さて最後に,私はみなさまの立っている場所が世界の中心であると思っています.その場からきっと何かがはじめられるのではないかと思う.IT’S ME! これをやるのは俺や!という感覚が大切ではないでしょうか.本日はありがとうございました!」

井上さん,こちらこそ本当にありがとう!!!

そしてこの場をつくるために奔走してくれた学生の皆さん,本当に素晴らしい場が出来ました.みんな素晴らしい!!!

そしてその晩は井上さんやパネルディカッション登壇者の方々とSVSのメンバーで一緒に飲みに行き,翌日は朝からうどんツアー.井上さんと桝田さんは3軒で6杯いってました.さすが.

sympo3

sympo4

それにしても「なかむら」の行列長いなぁ...

FM香川でシンポジウムと授業の紹介

昨晩,FM香川のSUPER MEDIOという番組をご担当されている市川智子さんのお招きでFM香川さんにお邪魔してきました.

今週のシンポジウムと来月からスタートする実践型社会起業家論のご紹介をして頂くための情報提供で伺ったのですが,市川さんと社会起業家の話しですっかり盛り上がり,その勢いのまま僕もスタジオで話す事に...勢いって怖いです.

9月22日(火)の朝8時40分ごろからだいたい10分くらい放送されるそうです.

お時間のある方は是非お聞きください.

実は,昨年もこの番組にはお世話になっていました.FM香川の皆様,本当にありがとうございます!

実践型社会起業家論のシラバス公開!

実践型社会起業家論のシラバスを公開いたします.

PDF: 実践型社会起業家論シラバス

先日の四国新聞での広告以降,聴講のお申し込みをすでにかなり頂いています.ありがとうございます!

申込み時に記入をお願いしている「受講にあたっての一言」には短くて結構ですので,どのような想いや背景で受講を希望されていらっしゃるのかをお伝えいただければと思います.熱いメッセージも歓迎です.今回の講師総勢12名は熱くて面白い人が多いです!

ところで,既にお伝えしておりますが,ワークショップ形式の授業もあるため授業効果を考えて,今回募集する聴講生は限定で20名までとさせて頂きます.聴講の応募受付は9月28日までとなります.受付締め切り後,受講者の皆様にはE-mailにて選考結果をお伝えさせて頂きます.

なお現在公開しているシラバスは最終バージョンではありません.各授業のテーマ等について一部調整中ですので,随時バージョンアップしていく予定です.今後とも当ホームページを随時チェックしてみてください.

募集の概要につきましてはこちらでご確認ください.

聴講生募集開始! 実践型社会起業家論

本日(9月15日付)の四国新聞に掲載された広告の通り,香川大学大学院地域マネジメント研究科(香川大学ビジネススクール)で開講される「実践型社会起業家論」の聴講生を限定20名募集いたします.聴講にあたっての受講料は無料です.是非ふるってご応募ください.

応募はコチラのフォームからお願いいたします.必ずお名前(フルネーム),E-mail,件名(“聴講申込み”と記入),メッセージ(ご職業と受講にあたっての一言)を記入の上,送信ボタンを押して下さい.応募多数の場合はこちらで選考をさせて頂きます.ご了承ください.

応募は9月28日締切りです.選考の結果はE-mailにて応募者の方にお伝えさせて頂きます.

なお,本授業は日本財団および高松丸亀町商店街から多大なご支援をいただいております.ここに記して感謝申し上げます.

社会起業家と地域マネジメント:香川大学ビジネススクールシンポジウム

香川大学ビジネススクールでは「社会起業家」をテーマとしたシンポジウムを9月26日の13:30~17:00 (開場13:00),高松シンボルタワー(タワー棟6F)かがわ国際会議場にて開催いたします.参加費は無料です.

今年のシンポジウムには慶応義塾大学総合政策学部専任講師でSVP東京代表を務められる井上英之さんやトビムシの竹本吉輝さん,岩瀬まちづくり株式会社の桝田隆一郎さん,NPO法人Eyesの竹下愛さん,有限会社愛媛サポーターズの那須紗代子さんといった大変魅力的な方々をスピーカーとしてお招きしています.

参加ご希望の方は、下のPDFの参加申込書にしたがって、FAX(087-832-1955)または、

E-mail(担当:濱田):hamada@gsm.kagawa-u.ac.jp にて、事前にお申し込み下さい。

PDF :第6回香川大学ビジネススクールシンポジウム

その他,くわしい情報は香川大学ビジネススクールのホームページにございます.

クラウンがマネジメントを変える!

先日,実践型社会起業家の講師としてお招きする村上純子さん(緊急クラウンジャポン)が主催するワークショップ「ドクタークラウンになる!?」に参加してきました.

juju-and-sig1

講師の村上純子さんとシグリッド・ラシャペルさん

振り返ってみると,このワークショップは素人が好奇心程度に「クラウンって何?」ということを知るためのワークショップではないように思います.ワークショップのタイトルに「!?」マークはついていますが,あくまでも「クラウンになる」というワークショップでした.期間も4日間 計28時間というそれなりに長い設定です.クラウンや演劇について全く素人の私にとっては,参加するにもちょっと勇気が必要なチャレンジングなワークショップでした.

私自身は大まじめにクラウンの背景にある考え方や価値観,ノウハウが組織のマネジメントに役立つのではないか,それどころか組織マネジメントを変えるのではないかと考えています(村上さんには「そんなこと考えるなんてまじめだなぁ」と笑われましたが,職業なもので・・・).人と関わることを思いっきり楽しむこと,仕事をしながら思いっきり笑うこと,子供のような遊び心と好奇心を満載にして生きること,こういったことは多くの仕事の現場で欠けているのではないかとずっと思っていました.

人のモチベーションは気分や情動に大きく影響されます.しかし,私たちはその気分や情動になかなか効果的な対応を知らないのが現実ではないでしょうか.気持ちの奥底には相手への優しい想いがあったとしてもなかなか表現できない,場の気まずい空気を感じていてもそれをどう変えていいのかわからない,そういうことはよくあることです.

特にソーシャルベンチャーのようなお金や特定個人の強いリーダーシップだけで動かせないような組織では,「楽しい!」ということが参加者の気分や情動をポジティブなものに変え,参加者を引きつけ続ける大きな要因になりえます.したがって「楽しいを沢山作れること」がマネジメント上の大変重要な要因にもなるわけです.

ではどうしたら皆を楽しませることが出来るのでしょうか.クラウン流の答えは「自分が思いっきり楽しむこと」です.講師のシグリッドさんは「クラウンは思いやりのあるエゴイストであり,一番自分が楽しんでいるからそれを見ている観客も楽しくなる」とおっしゃっていました.そしてそれは決して人を笑わせようとして何か特別なことをすることではありません.シグリッドさん曰く「自分をクラウンとして提示しようとする必要はない.自分につながればよい.クラウンは自分につながれば出てくるもの」なのだそうです.

クラウンは日本語では「道化」と訳されます.皆の笑い者です.しかし,私は今回のワークショップを受けてクラウンの持つ奥深さに驚かされました.

シグリッドさんの次のお話が心に深く残っています.「階層社会の頂点というものがあるならば,その頂点の正反対を目指しているのがクラウン.クラウンは,誰もが持っている人間としての一部分であるバカバカしさ,ダメな部分,そういったものを自分の中に認めて透明に表現する.その時,観客はクラウンに優越感を感じる.しかし,クラウンが透明に自己を表現する時,観客はそのクラウンの世界に引き込まれ魅了されクラウンを愛さずにいられない.実は頂点から最も離れたところにいるクラウンが優越感に浸る観客の心の手綱をにぎっている.クラウンほどの大きな権力と自由はない」(言葉は少々私の記憶違いもあるかもしれませんが大意はこのようなことをおっしゃていたと思います).

だからこそなのでしょう,今回のワークショップで講師のお二人はクラウンの目的を「笑わせることではない」と明確に言い切ります.「笑わせようとしたら人は笑わない.自分が透明になること.そうすると相手はその中に入らざるをえない.一番ベースになるのは透明でなにもない自分自身.自分の呼吸.自分のエモーション」.透明な,自分自身の最も奥深くにあるスピリッツを分かち合うことがクラウンという存在の働きであり,クラウンの表現方法なのだろうかと感じました.ドラムサークルの師匠であるアーサー・ハルさんのメッセージ“Share your spirit”と驚くほど共通するものを感じます.

村上さんとシグリッドさんの師匠であるジャック・ルコックによればクラウンは「赤い鼻」という仮面をつける「世界一小さな仮面劇」なのだそうです.不思議なことですが,今回のワークショップを受けてみた後は,普段の自分の方が実は沢山の仮面をつけていて,クラウンとして自分を解放している時の方がずっと自分らしく思えたりもしました.

村上さんのワークショップは来月,実践型社会起業家論の授業でも3時間というとてもとても短い時間ではありますが開催いたします.受講される皆さんお楽しみに♪ 全員分の赤い鼻が用意されます.ビジネススクールでこんな授業めったに受けられませんよ!

clowns

日経トップリーダー9月号 修羅場の後継学

本日,日経トップリーダー9月号が発売になりました.

今月も「修羅場の後継学 『自分はすごい』と勘違い 父のダメ出しで自省」という記事を提供しています.

200909_nikkeitop

修羅場というものは誰しも避けて通りたいものだと思います.しかし,実際には経営者の方々の8割近くははそのような状況をご経験されています.取材を通じて見えてくることは,多くの経営者の方々にとって,そのような修羅場のような状況だからこそ深めることが出来る学びや,見えてくる自分や他者の側面というものがあるということです.

ご興味のある方は,是非一度手に取ってお読み頂ければうれしいです.

ご感想ご質問等はこちらからどうぞ.お返事は必ず出すようにしています.

それから話が脱線するのですが,トビムシ竹本社長のインタビューが同じ日経トップリーダーのHPに掲載されていました.

先日お会いしたのですが,竹本さんは「森林の再生」という日本にとってとても重要なテーマに取り組んでいらっしゃいます.岡山西粟倉村の「共有の森ファンド」はその取り組みの一例です.こちらのインタビューもご興味のある方は是非お読みください.

実は今月,竹本さんには香川に来て頂いてお話しをして頂けることになっているのです.このことは改めて別のエントリーでご案内したいと思います.

四国における社会起業家支援に向けて

本日付(8月29日)の日本経済新聞(四国経済面)に私たちの活動に関する記事が掲載されました.

n2

記事の要約版は,NIKKEI NET(日経ネット)にも掲載されております.

以前のブログでも少しずつ紹介してきたのですが,私たちは現在,各方面の皆様から有形無形のご助力を頂きつつ,10名程のメンバーを中心としてSVP東京をモデルとした新しい社会起業家支援の仕組みとネットワーク作りを四国において進めております.

今秋には組織としての形もより明確なものとなり,より幅広く市民の皆様がご参加いただけるようなものをご案内させて頂く予定です.

モデルとなる組織や仕組みがあるとはいえ,それをスケールアウト(他地域展開)する上では様々な課題があることも事実です.四国という地域に合った仕組み,自分達が納得してコミットできる仕組み,社会起業家の方々と等しい高さの目線から支援を通じて共に成長することが出来るような仕組みを目指して少しずつ課題を乗り越え,形を作っていきたいと思っています.

今後ともご支援・ご協力をよろしくお願いいたします.

アンパンマンのおへや

先日,香川小児病院を訪れました.500床ほどある四国ではとても大きな小児病院です.

hosp 
今回の訪問の目的は,実践型社会起業家論の講師としてお招きする緊急クラウンジャポンの訪問先病院になって頂けるように香川小児病院の院長先生と看護部長さんにお願いにいくことでした.以前から緊急クラウンジャポンの皆さんには香川で授業を行って頂くだけではなく,訪問先病院を作って少しでも活動のお役に立ちたいと思っていました(くわしい経緯はコチラ).しかし,県内に適当な病院を探し,さらに交渉するための接点を作る事は私にとって簡単なことではありませんでした(私の得意ないきなり電話して交渉というスタイルは病院ではあまり好まれないようです・・・).いろいろな方のご協力を頂いて今回の訪問が実現したため,ご説明に行けるだけでもとてもうれしく思いました.

今回の訪問には,香川小児病院を紹介してくれた地域マネジメント研究科2年生の岡田さんも同行してくれました.おかげでとても和やかな雰囲気の中,即決という感じで緊急クラウンジャポンの受け入れが決まりました.すごくうれしかったです(岡田さん,本当にありがとう!).

その後,病院内のいくつかの病棟を看護部長さんにご案内いただきました.多くの子供達の様子を見ていると胸が痛むものがありました.その中でふと目が留ったのが「アンパンマンのおへや」と書かれた入り口でした.

anpanman 
アンパンマンのおへやは手術室のことでした.多くの子供達は手術を受けるということがどういうことかを十分わかっています.だからこそ子供達の手術への恐怖や不安を少しでもやわらげようと病院の皆さんが配慮してアンパンマンのおへやという文字と装飾が施されていたのでした.アンパンマンのおへやの入り口を見ながら,この入り口をくぐらなければいけない子供達の気持ちを思わず想像してしまいました.

そして,そんな彼・彼女らに希望や笑いを届けようとするクラウンの皆さんの活動の尊さを思いました.

ドラムサークルとAI

昨年度に開講した実践型社会起業家論ですが,その時の学び,特にSVP東京に関する伊藤健さんの講演を一つの起点として,今,四国に社会起業家支援のための新しい仕組み作りをはじめています.今日はその仕組みづくりの途中の様子を少し紹介したいと思います.

8月8日(土)朝9時,香川大学の体育館にいくつものドラムの音が鳴り響きました.ドラムを打ち鳴らしているのは,経営者や行政マン,NPO理事,MBA学生,大学教員といった多彩な顔ぶれで共に四国に社会起業家支援のための新しい仕組みと組織作りを模索する仲間達です.

P1010107

輪になってドラムやベルなどを打ち鳴らすドラムサークルを通じて,一人ひとりが自律的に情報を受発信しながら,同時に全体としても1つとなって美しいアンサンブルを創造する事を学びます.持続的に社会貢献とビジネスを両立させていこうとする社会起業家の方々の多くは,単に上意下達によって動く組織ではなく,個人の自律と全体の協調のバランスがとれた志やヴィジョンによって駆動する組織づくりを目指しています.もちろん我々自身もそのような組織づくりを目指しています.また,我々の社会起業家支援の一環として,将来そのような組織づくりに関するノウハウも提供したいと考え,自分達の活動にドラムサークルを取り入れています.

P1010106

ドラムサークルが美しいアンサンブルを生み出すためには,一人ひとりが全体の音色をよく聴き,その上で自らを表現していく必要があります.このようにドラムサークルでは個と全体の協働が重要な要因となるため,美しい響きを追求する過程の中で体験的に自律と協調のバランスを学ぶことが出来るのです.

同日の午後からは大学内の教室に場所を変えてさらに学びと分かち合いの時間を持ちました.ここではAI(アプリシエイティブ・インクワイアリ:肯定的探求)という組織開発の手法を用いて場を進行しました.アプリシエイティブ・インクワイアリとは,個人の持つポジティブなストーリー(人生や仕事の経験)に焦点をあて,個人の強みから創造的な未来を描き,それをベースに組織全体の共通の夢を描いていく新しい組織開発のアプローチです.参加者は2人1組となって,お互いの仕事経験や未来に実現したい夢についてのインタビューを行い,その内容をメンバー全員にシェアします.参加者からは次々と熱い想いが語られ,黒板がびっしりと埋め尽くされました.

P1010113

「現場で大変な思いをしている社会起業家の方々を元気にする栄養ドリンクになりたい」,「産官学のネットワークを活かして地域活性化の新しい流れを創造しよう」,「四国に社会起業家に心から称賛を送れるような場や文化を作りたい」.こうした想いの一つひとつがやがて共通のヴィジョン,共通の夢としてまとめあげられた頃,すでに時刻は夜の11時近くになっていました.

P1010141

P1010122

P1010128

自律と協調のバランス,個人の夢と全体のヴィジョンの共振,こうしたことはなかなか机上では学ぶ事が難しいものです.しかし,肯定的な内省と対話,時にはドラムサークルやAIなどを用いたアプローチを通じて,私たちは体験的に学びを深めながら,個人としても全体としても成長する事が出来るのだと感じています.私たちの社会起業家支援のための新しい仕組み作りはまだはじまったばかりですが,こうした学びと成長と共に,着実に前進を続けていきたいと思います.

<< 1 2 3 4 5 >>

5ページ中
3ページ目