新しい組織論:要素還元型と生命型の併存
2010.03.07
慶応義塾大学の高木晴夫先生と中小企業基盤整備機構の笠原一絵さんとの共著でリサーチペーパーを出しました.論文のタイトルは「新しい組織論:要素還元型と生命型の併存」です.本文はコチラカラ読むことが出来ます.
高木晴夫先生は私の大学院時代の恩師(指導教授)であり,今回のように共同で研究をさせていただくことに深い思いを感じます.修士から博士と学ばせていただき,計り知れない学恩のある方といつしか自分が一緒に研究上の議論をしている不思議さやうれしさが混じった気持ちです.高木先生のBlogに『一人では研究できない課題を持ったとき、自分の研究の考え方と価値観を知ってくれている若い卒業生の力を得ることができる幸せを感じ、彼等に感謝した。』と書かれているのを拝見して,そこまで力を育んでいただいたことを感謝せずにいられませんでした.
高木先生がHPに論文の一部を引用されていたので,私も同じ部分を示しておきたいと思います.これは論文の終わりの部分です.
『我々は、今後、これまで要素還元型の研究で十分カバーされてこなかった組織の課題に ついて、研究努力を集中すべきだと考えている。これは要素還元型をやめるべきだという 意味ではなく、今までの研究の視点の中に見落とされてきた部分があったということであ る。その見落とされてきた部分についても、これからはもっと見ていかなければいけない。
本稿で議論してきた通り、要素還元型と対比して、生命型には「自己と他とその関係を 認識し手を下す」という本質的な特徴がある。この部分には特に研究を集中させる価値が あるだろう。この部分は要素還元型の装置としては形成できないからである。また、組織 に要素還元型と生命型が併存することで組織がフラクタルになっているならば、それをい かに組織のマネジメントに活用出来るかといった研究の展開にもなるであろう。
従来の複雑系の研究では、あるものがフラクタル状になっていることを見出しても、そ れがそうなっているという認識の提示で議論が止まっていた。実践のための研究をするの であれば、フラクタルになっていることを、いかにしてマネジメントや社会にとって役に 立つ道具にしていくかが研究されねばならない。組織研究が向かうべき方向は、組織は要 素還元型と生命型が併存し、組織のフラクタル性が存在するということの解明であり、そ の知識を道具として使うための研究をしていくことである。』
山形出張:つながりを恢復する旅
2010.03.06
先日,私の授業にもお招きさせて頂いている加藤雅則さん(株式会社アクションデザイン代表、CTIジャパン・フェロー)から逆にご招待頂いて,山形に出張してきました.加藤さんは今,東京と山形を往復する二拠点居住をされていらっしゃいます.今回私は,その山形で加藤さんと有志の方々がはじめられた新しい地域活性化プロジェクトの評価委員として訪問させて頂きました.
私にとって本当に久しぶりの雪国でした.その山形の中でも少し人里離れた集落の中の素敵な山小屋で加藤さんをはじめ有志の方々とインタビューの時間を持たせて頂きました.インタビューは,プロジェクト評価の話からは脱線しまくりで(笑),人や自然,歴史,心のあり方など深い話の連続となり,あっという間に時間が過ぎていきました.美しい山々に囲まれて自然を感じながら,ゆったりとそんなお話しをしていると,自分がこれまで超えようともがいていた内面的な壁に対して,ふと超えられそうな(超えたような)感覚を覚えました.とてもシンプルな言葉でしたが「自分の中心軸をしっかりと感じること,自然のように大きなものとのつながりを感じることが本当に大切ですよね」との一言が心に響きました.
こちらの山小屋でインタビュー
山小屋の裏手には熊戸岩と呼ばれる大きな岩が
山小山への移動はカンジキ!
芭蕉の句で有名な山寺にも訪れました.そこから見た美しい山々
香川に戻ってから,すぐに海が見える場所に行き,ゴロリと寝転んで空と海を眺めました.「なんて気持ちいいんだろう」と思いながら,いつの間にか空や海と自分がつながっている,あるいは一体化して溶け込んでいるような感じがしました.こういう時間が自分にとって本当に大切だったことに,今回の旅で気づかせて頂きました.
加藤さん,いつもながら本当にありがとうございました!元気百倍になりましたっ!
高松の青い空!(この写真だと広がりが伝わらないのが残念).
ミラクルな日々(2)
2010.02.12
2月7日は実践型社会起業家論の最終日でした.最終日の講師としてお招きした樋栄ひかるさんの講義は,私も含めて受講生皆のの心深くに残るものでした.
ひかるさんが示してくれたコミュニケーションの5つの要素は,「肯定的な自己概念をもつ」,「傾聴できる力」,「明確に意図を伝える表現力」,「感情のコントロール」,「自己開示」ということで,私もとても勉強になりました.自分を知ること,内省することの大切さは,私も色々な場やお話しをさせて頂いたり,論文等でもご紹介してきているのですが,本当に奥の深いテーマであると同時に実践が伴わなければ意味が無いことだと実感しています.ひかるさんの場合は,理論と実践のバランスが絶妙で,しかも存在感から伝わってくる輝きで皆を照らしてしまうような明るさがあって素晴らしいなと思いました.
授業の様子はこちらのひかるさんのHPにも詳しくご紹介頂いています.
http://plaza.rakuten.co.jp/enacomm/diary/201002080000/
授業運営も場の雰囲気を捉えながら臨機応変にアクティビティを変えられていて本当に素晴らしかったです.授業の最後に受講者全員でチェックアウト(1人1分程度で今感じていることを突っ込みや質問は無しで共有する)をしたのですが,皆さんの感想も素晴らしくて,聞いていた私自身がだんだん感動してきてしまって,本当にこの授業をしてよかったと思いました.
多くの方々に支えられてこの授業をすることが出来て本当にありがたく思いました.お世話になった皆様に心より感謝申し上げます.これからの新たな歩み出しを,さらに面白く,さらに実り豊かなものにしていきたいと思います!
皆さん,またお会いしましょう!